サスケくんは一週間以上の任務から帰って来た翌朝は、ぐっすり眠っててなかなか起きない。

普段は眠りが浅くてちょっとのことで起きてしまうので、こういった時にしか出来ないことがある。

私はベッドサイドに腰を下ろして頬杖をつき、サスケくんの顔を覗き込む。
規則正しく上下する胸が視界の端に映り、当分起きないことをきちんと確認する。

お蒲団から出てる右腕を撫でて、その先にある掌を両手で包みこむ。大きくてごつごつと硬い。傷やタコはサスケくんが今まで頑張ってきた証だ。
下忍の頃、ふとした時に触れた掌の柔らかさも大きさも、そんなに違わなかったはずなのに、どうしてこんなに変わったんだろう。

親指から順番に指先に一本ずつ、その次は手の甲に音を立てずに丁寧に、くちびるを落としていく。
くちびるで感じる熱が、彼がここにいること、生きてることを教えてくれる。


包んでいた掌を優しくベッドに下ろして彼の顔を見る。大丈夫、まだ起きない。
下ろした腕にも服の布地越しに同様にする。


「ん」


彼のくぐもった声に心臓が飛び跳ねた、呼吸もつられて荒くなる。
起きてない、でも起きちゃうかも。一回深呼吸をしてもう一度彼の顔を覗きこむ、先ほどと変わらない寝顔だ。

私はおそるおそる真っ黒な髪の毛を撫でる。サスケくんの髪の毛は猫っ毛で軟らかくて、こうして触れられるようになるまではもっと硬いんだろうなと思ってた。
そのふわふわとした軟らかい感触にくちづけを落とすとシャンプーの匂いが鼻孔をくすぐる。おんなじシャンプーの筈なのに彼から匂うとどうしてこんなにどきどきするんだろう。

髪の毛の次は瞼にうつる。瞼の奥にある真っ黒な瞳は丁寧に磨き込まれた黒曜石のようで、彼の意志の強さにぴったりだ。

そのまま流れるように頬にもくちづける。滑らかで肌理が細かくて女の子みたいに繊細な軟らかさでほれぼれとしてしまう。
ほっぺたにくっつけていたくちびるを離すと、一旦顔を上げてもう一度彼の寝顔をじっと、じっと見つめる。


どうかまた、この秘密の儀式が出来ますように。
どうか、彼が幸せを感じる時が昨日よりも今日、今日よりも明日と増えていきますように。
どうか、私のこの祈りが神様に届きますように。


精一杯の祈りを込めて、サスケくんの額にキスをした。
私は立ち上がると枕元にある窓のカーテンを勢いよく開けて
「おはよう、サスケくん」と、いつもの朝に戻っていく。


これは私だけの秘密の儀式。





 と、いうことで今日はキスの日です。日本で初めてキスシーンがある映画が公開された日とのこと。
キスする場所にもそれぞれ意味がある、ということで今回はサクラちゃんバージョン。
いつかサスケバージョンも書きたい。

 あと恋文の日でもあるそうで、少し考えたけどうまくまとまらず今回は断念。
365日何かしら記念日だったり設定されてるので「今日は何の日?」シリーズ化できるよう頑張るぞ^^


20140523

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