私たちはウロボロスの連環の輪から放たれた。

それでも彼が好きなのに変わりはなかった。

時々自分の感情の出処が分からなくなる。

アベルがさびしい、と思ったあの瞬間。私、という意志を持たされたあの瞬間なのか。
それともキムが、女として役立たずだった私を慰めてくれる為にあの幼い天使を作ろうとしてくれた日々なのか。
それともラカンが私だけを見つめてくれていた、あの愛しくて切ない時間の積み重ねなのか。

ううん、どれも違うと思う。

私はフェイのまっすぐな瞳が好きなんだ。

いつだって優しく差し伸べてくれたその温かい腕が好きなんだ。

少しさびしそうに、はにかんで笑う表情が好きなんだ。

私たちは運命の輪から放たれた。

来世も、今までみたいに必ず逢える、なんて約束は出来ない。

だからこそ、精一杯の愛を、今この瞬間の私を、いつかは別れゆく彼に捧げよう。






メビウスのおわり




Twitterの「ゼノギアス深夜の60分一本勝負(アカウントは現在削除されております)」の参加作品です。
腐の方もそうでない方も楽しめるように、ということでカップリング表現は禁止、というルールだったのですがこれが精一杯でした・・・
カップリングになるかもしれないですけど、でもどうしても分かちがたくて無理でした。
主催者の翼飛様、申し訳ありません。

ゼノギアスは私にとって不朽の名作。最後にプレイしたのはもう随分前なのですがそれでも愛情は変わりません。
最愛のエレハイムを書けて良かったです。
またプレイして復習しようっと。

タイトルを「想い」から「メビウスのおわり」へと変えました。(20150301)


20140705

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